家づくりを始めると、どうしても「数字」や「条件」に追われてしまいがちです。 坪数は? 駅からの距離は? 収納率は? 断熱性能の等級は?
もちろん、どれも大切なことです。でも、いざ完成した家に入ったとき、私たちが心の底から「ああ、いい家だな」と感じる瞬間は、スペック表の数字を見たときではありません。
それは、ふとした瞬間に訪れます。 例えば、キッチンからリビングを眺めたときの光の入り方だったり、階段の手すりに触れたときの感触だったり。
今回は、そんな「スペックには表れない心地よさ」を大切にしたお住まいを例に、自分らしい暮らしの風景をどう描くかについて考えてみたいと思います。
1. 「抜け感」がもたらす心の余裕

リビングに入ってまず目を引くのが、白く塗装されたアイアンの階段。 通常、階段は「壁」になりがちで、部屋を狭く見せてしまう要素のひとつです。でも、あえて向こう側が透けて見えるスケルトン階段を選ぶことで、視線が抜け、光が部屋の奥まで届きます。
「階段=移動するための通路」ではなく、「光をとりこむインテリア」として捉え直す。 それだけで、リビングはただ広いだけの場所ではなく、家族の気配を感じられる優しい空間に変わります。
2. 毎日通る場所こそ、ときめきを

写真にある、キッチン横のアーチ型の入り口。 直線の多い家の中で、ぽつんと曲線があるだけで、空間の表情がふっと和らぎます。
ここはただの通路かもしれません。でも、買い物から帰ってきて荷物を運ぶとき、朝起きてキッチンへ向かうとき、このかわいらしいアーチをくぐるたびに、小さな「愛おしさ」を感じるはずです。 「機能的であればいい」で終わらせず、「そこを通る自分がどう感じるか」を想像してみる。それが、長く愛せる家づくりの秘訣です。
3. 色と素材で「リズム」をつくる

無垢の床の温かみは、素足で歩いたときに一番よくわかります。 そこに、あえて落ち着いたブルーのアクセントクロスを合わせてみる。あるいは、あえて一部をタイル張りにしてみる。
すべてを白と木目で統一するのも素敵ですが、お気に入りの色や異素材を少しだけ混ぜることで、暮らしに心地よいリズムが生まれます。 「派手じゃないけれど、地味でもない」。 その絶妙なバランスが、毎日の暮らしに飽きをこさせないポイントです。
4. 「なんとなく好き」を信じていい

もし今、家づくりで迷っているなら、一度カタログのスペック表を閉じてみてください。 そして、施工事例の写真だけをパラパラとめくりながら、こう問いかけてみてほしいのです。
「この空間でコーヒーを飲んでいる自分は、リラックスできているかな?」
その直感は、案外正しいものです。 条件に合う家ではなく、「ここで暮らす自分が想像できる家」をつくること。 それこそが、何十年経っても「やっぱりこの家が好き」と思える場所をつくる、一番の近道なのかもしれません。
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