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【建築士が教える】夏の暑さ対策の新常識。エアコンに頼る前に知りたい「涼しい家」の作り方

2025.07.23

【建築士が教える】夏の暑さ対策の新常識。エアコンに頼る前に知りたい「涼しい家」の作り方

「日本の夏は、こんなにも暑かっただろうか…」

毎年、夏の訪れとともに、多くの方がそう感じているのではないでしょうか。建築士として家づくりに携わっていると、この「夏の暑さ」をどう乗り越えるか、というご相談が年々増えていることを実感します。

多くの方は「高性能なエアコンを設置する」ことを考えがちですが、実はその前にできることがたくさんあります。建築士の視点から言えば、**「暑くなった家を冷やす」のではなく、「そもそも暑くなりにくい家をデザインする」**ことが最も重要です。

この記事では、家づくりのプロとして、明日からすぐに実践できることから、リフォーム、新築で実現できる本格的な対策まで、3つのステップに分けて「涼しい家の作り方」を徹底解説します。

 

ステップ1:【誰でも今すぐできる】お金をかけずに効果を出す基本の「き」

よしず 画像

まずは、今の住まいで手軽にできる、しかし非常に効果的な暑さ対策です。ポイントは**「日射を入れない」「風を通す」**の2つです。

1. 最強の対策は「窓の外」にあり 室内のカーテンを閉める方は多いですが、実は熱が室内に入ってから遮るのでは効果が半減してしまいます。熱は窓ガラスを透過する際に室内へ伝わるため、窓の外側で日差しをカットするのが最も効果的です。

  • すだれ・よしず: 日本の伝統的な知恵。見た目も涼やかで、ホームセンターで手軽に購入できます。
  • アウターシェード: 外部に取り付けるロールスクリーンのようなもの。使わない時期は収納できるので便利です。
  • 緑のカーテン: ゴーヤやアサガオを育てることで、日差しを遮るだけでなく、植物の蒸散作用で周囲の温度を下げる効果も期待できます。

2. 「風の通り道」をデザインする ただ窓を開けるだけでは、効率的な換気はできません。空気の入口と出口を意識して「風の通り道」を作ってあげましょう。

  • 対角線上に窓を開ける: 例えば南の窓と、対角にある北の窓を開けると、家全体を風が吹き抜けます。
  • 高低差を利用する: 暖かい空気は上に昇る性質があります。1階の窓から涼しい空気を取り込み、吹き抜けや2階の高い位置にある窓から熱気を逃がしてあげると、立体的な風の流れが生まれます。

 

ステップ2:【リフォームで実現】住まいの性能を格段に上げる中級編

二重窓 画像

もう少し本格的に対策をしたい、リフォームを考えているという方は、住まいの「弱点」を補強していきましょう。

1. 「窓」の性能を見直す 家の中で最も熱の出入りが激しいのが「窓」です。ここを対策するだけで、室内の快適性は劇的に変わります。

  • 内窓の設置(二重窓): 今ある窓の内側にもう一つ窓を設置する方法。比較的工事が簡単で、断熱効果だけでなく防音効果も高まります。
  • 高断熱窓への交換: 複層ガラス(ペアガラス)や、特殊な金属膜で日射熱をカットする「Low-E複層ガラス」に交換すると、夏の強い日差しを効果的に遮ってくれます。

2. 「庇(ひさし)」や「オーニング」を後付けする ステップ1でお話しした「窓の外での日射対策」の決定版です。

  • 庇(ひさし): 夏の高い位置にある太陽光は遮り、冬の低い位置からの日差しは室内に取り込んでくれる、日本の伝統的な建築の知恵です。デザイン性の高いものも多くあります。
  • オーニング: カフェのテラスなどで見かける、布製の日除けです。角度を調整できるものが多く、デザインのアクセントにもなります。

3. 天井・屋根の「断熱リフォーム」 夏の2階が異常に暑い場合、屋根からの熱が原因であることが多いです。天井裏に断熱材を追加・補強するだけで、室温の上昇を大幅に抑えることができます。

 

ステップ3:【新築ならこだわりたい】一生快適な家を建てる究極の方法

外観画像

これから家を建てる方は、涼しい家を実現する最大のチャンスです。目先のデザインだけでなく、「パッシブデザイン」という考え方を取り入れましょう。

パッシブデザインとは? エアコンなどの機械に頼るのではなく、太陽の光や熱、風といった自然のエネルギーを最大限に活用し、快適な住環境をつくる設計思想のことです。

1. 夏の日差しを遮り、冬の日差しを招く「庇(ひさし)」の設計 太陽の高さは季節によって変わります。その土地の緯度に合わせて庇の出幅を緻密に計算することで、「夏は日陰を作り、冬は日向を作る」という理想的な状態を実現できます。これは新築時にしかできない、最も効果的な対策の一つです。

2. 「断熱性能」と「気密性能」を極める 家の断熱性・気密性を高めることで、外の暑さ(寒さ)が室内に伝わりにくくなり、魔法瓶のように快適な室温を保ちやすくなります。一度エアコンで冷やした空気が外に逃げにくくなるため、光熱費の削減にも絶大な効果を発揮します。

3. 「窓の配置」と「植栽計画」を連動させる ステップ1で紹介した「風の通り道」を、設計段階から緻密に計画します。さらに、建物の西側に落葉樹を植えることで、夏の強い西日を葉が遮り、冬は葉が落ちて暖かい日差しを取り込む、といった自然の力を借りる設計も可能です。

 

まとめ

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夏の暑さ対策は、力(エアコン)でねじ伏せるのではなく、自然の力を借りながら、家の設計で賢く受け流すのが理想です。

まずは「窓の外」での日射対策から、ぜひ試してみてください。そして、もしあなたがこれから家づくりやリフォームをお考えなら、目に見えるデザインだけでなく、その家が持つ「温熱環境性能」にも目を向けてみてください。

一年を通して心地よく、地球にもお財布にも優しい家は、これからの時代のスタンダードです。皆さんの暮らしが、より快適になることを心から願っています。

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