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なぜ「好きなカフェの写真」を集めても、理想の家にならないのか?

2026.01.16

なぜ「好きなカフェの写真」を集めても、理想の家にならないのか?

家づくりを始めた多くの方が、InstagramやPinterestで素敵なカフェ空間の写真を保存しています。

「こんな雰囲気の家に住みたい」

  「スタバみたいな落ち着く空間がいい」

そんな憧れを抱きながら、いざ設計士との打ち合わせになると、こんな壁にぶつかります。

「この雰囲気、どう言葉で伝えればいいんだろう?」 「木目を増やせばカフェっぽくなる、で合ってる?」

実は、カフェ空間には明確な設計の法則があります。それを知らずに「なんとなくカフェっぽく」とお願いしても、思い描いた空間にはなりません。

今回は、千種建築が大切にしている「本物のカフェ空間を住宅で実現する3つの設計法則」を、実際の施工事例をもとに解説します。


法則1:「温かさ」と「冷たさ」を7:3で設計する

なぜ木目だけではカフェにならないのか

「カフェっぽくしたいから、床も壁も天井も全部木目で」

これは、家づくりで最も多い失敗パターンの一つです。確かに木は温かみがあって素敵ですが、すべてを木目にしてしまうと、ログハウスや山小屋のような雰囲気になってしまいます。

スターバックスやブルーボトルコーヒーのような洗練されたカフェ空間を思い出してください。そこには必ず「冷たさ」を感じる要素が存在します。

  • 木のテーブル × 鉄のフレーム
  • 温かみのある照明 × コンクリートの壁
  • マットな質感 × ツヤのある素材

この**「温かさ」と「冷たさ」の対比**こそが、カフェ特有の都会的な洗練さを生み出しているのです。

住宅で実践する「7:3の黄金比」

千種建築では、この対比を**「温:冷=7:3」**のバランスで設計することを推奨しています。

例えば、今回の施工事例では:

【温かみ要素(70%)】

  • 天井:レッドシダーの羽目板
  • 床:無垢のオーク材
  • 照明:電球色のペンダントライト

【冷たさ要素(30%)】

  • 窓枠:マットブラックのアルミサッシ
  • 照明レール:黒いダクトレール
  • アクセントウォール:グレーの石目調タイル

この配分によって、「温かいのに甘すぎない」「リラックスできるのにだらしなくない」という、カフェ特有の絶妙な空気感が生まれます。

設計士への具体的な伝え方

打ち合わせでは、こう伝えてみてください。

「素材の温度感の対比を意識した提案がほしいです。木の温かさだけでなく、アイアンやタイル、ガラスなど、異なる質感を組み合わせて空間に緊張感を作りたいです」

この一言で、設計士の提案内容は大きく変わります。


法則2:「見上げる・見下ろす」で空気が変わる

普通の家とカフェの決定的な違い

普通の住宅では、視線は常に「目の高さ」にあります。壁に掛けられた時計、カウンターの上の小物、ソファから見えるテレビ。すべてが水平方向に配置されています。

一方、カフェでは「上を見上げる」「下を見下ろす」という垂直方向の視線移動が自然と生まれる設計になっています。

高い天井、露出した配管、吊り下げられた照明、床に置かれた観葉植物。これらが空間に立体的な奥行きを与え、「ただの箱」ではない豊かさを作り出しているのです。

天井高に「変化」を持たせる

カフェ空間を再現する上で最も重要なのが、天井高の設計です。

一般的な住宅では、すべての部屋の天井高が2,400mmで統一されています。しかし、これでは空間に動きが生まれません。

千種建築では、こんな設計を提案しています。

  • リビング:2,400mm(標準の天井高でリラックス)
  • ダイニング:2,200mm(わずかに低くして親密感を演出)
  • キッチン:2,500mm(少し高くして開放感を確保)

わずか20cmの違いですが、部屋を移動するたびに感じる空気の変化が、空間に豊かなリズムを生み出します。

「化粧梁」という選択肢

さらに効果的なのが、構造材である梁をあえて隠さず、「骨組み」として見せる設計です。

木の梁が天井から飛び出していることで:

  • 視線が自然と上に誘導される
  • 空間に力強さと工業的な美しさが加わる
  • 天井に「レイヤー(層)」が生まれ、立体感が増す

これが、いわゆる**「インダストリアルデザイン」**の本質です。

照明の「吊り高さ」にも黄金比がある

ダイニングテーブルの上に吊るすペンダントライト。この高さ一つで、空間の印象は大きく変わります。

黄金比は「テーブル面から70〜80cm上」

  • 高すぎる(100cm以上):光が拡散しすぎて、普通の部屋に見える
  • 低すぎる(50cm以下):圧迫感があり、視界を遮る
  • ちょうどいい(70〜80cm):手元を優しく照らし、カフェのような親密な空気感が生まれる

設計士への具体的な伝え方

「天井にレイヤー(層)を作りたいです。高さに変化を持たせたり、梁を見せる設計で、視線が上下に動く空間にしてください。照明の吊り位置も、数値で指定させてください」


法則3:「何も置かない勇気」が空間を格上げする

カフェが心地よい本当の理由

多くの人が見落としている、カフェ空間の重要な要素。それが**「余白」**です。

スターバックスの店内を思い浮かべてください。壁には大きな窓があり、余計な装飾はありません。家具の配置にも十分な間隔があり、視線が抜ける「空(くう)」の部分が計算されています。

この適度な余白こそが、「ゆとり」「洗練」「高級感」を生み出しているのです。

家づくりでやりがちな「詰め込み」の失敗

一方、住宅ではこんな失敗が頻発します。

  • 収納を増やしすぎて、壁という壁がすべて扉やニッチで埋まる
  • コンセントやスイッチが無計画に並び、壁の連続性が失われる
  • 窓を「明るさ確保」のために小さく分割してしまう

気持ちは分かります。収納は多い方がいい。コンセントは足りないと困る。窓は多い方が明るい。

でも、すべてに応えようとした結果、空間から「余白」が消え、雑然とした印象になってしまうのです。

「1面は何も付けない」という設計思想

千種建築が大切にしているルール。それが**「壁の1面は、何も設置しない」**という考え方です。

リビングに4つの壁があるなら:

  • 1面:テレビボード(造作)
  • 1面:大きな掃き出し窓
  • 1面:何もない白い壁
  • 1面:アクセントウォール

この「何もない壁」が、視覚的な休息ポイントとなり、空間に呼吸を与えます。

窓は「大きく、少なく」が正解

明るさを確保しようと、小さな窓をあちこちに配置する。これも、余白を失う原因です。

カフェの窓を見てください。大きな窓が1つ、2つ。そこから見える景色が、まるで絵画のように空間を彩っています。

住宅でも同じです。小窓を5つ作るより、掃き出し窓を1つ大きく取る方が、外の景色が「作品」になり、空間に奥行きが生まれます

造作家具で「凹凸」を減らす

後から家具を置くのではなく、壁に埋め込む造作家具を選ぶことも、余白を生む重要なポイントです。

市販のテレビボードや本棚は、どうしても壁から飛び出します。その数センチ、数十センチの凹凸が積み重なると、空間の連続性が失われます。

造作家具なら:

  • 壁面と完全にフラット
  • 天井までぴったり
  • 空間の一部として溶け込む

このシームレスな設計が、カフェのような洗練された空間を作ります。

設計士への具体的な伝え方

「引き算の美学を取り入れたいです。壁の1面は何も付けず、窓は大きく少なく、造作家具で凹凸を減らしてください。余白がある空間にしたいです」


実例解説:この写真から読み解く、設計の意図

 

今回の千種建築の施工事例を、改めて見てみましょう。

一見シンプルな空間ですが、実は緻密な設計判断の積み重ねでできています。

注目ポイント①:軒天から室内天井への連続性

外の軒天(屋根の裏側)と、室内の天井が、同じ木目で繋がっています

これにより:

  • 外と中の境界が曖昧になる
  • 視覚的に空間が外まで広がって見える
  • 「家の中にいるのに、外のような開放感」という不思議な感覚

カフェのテラス席にいるような、心地よい曖昧さを演出しています。

注目ポイント②:窓枠の黒 × 天井木目のコントラスト

マットブラックの窓枠と、ナチュラルな木目天井

この対比により:

  • 視線が自然と「上」へ誘導される
  • 天井の美しさがより際立つ
  • 空間全体が引き締まる

先ほどの「温冷7:3」が、この1枚の写真に凝縮されています。

注目ポイント③:ペンダントライトの配灯計画

多くの住宅では、ダクトレールを使って「後から照明の位置を変えられる」設計にします。

しかし、千種建築ではあえて位置を固定しています。

理由は:

  • 照明が空間の「芯」となる
  • ダイニングテーブルの配置が決まることで、生活動線も明確になる
  • 「自由すぎる」ことが、かえって空間をぼやけさせる

制約があるからこそ、空間に意志と強さが生まれるのです。

注目ポイント④:石目調アクセントウォールの役割

木と鉄だけでは、どうしても単調になります。

そこで、第3の素材として、グレーの石目調タイルを一部に採用。

これにより:

  • 素材の種類が増え、空間に深みが生まれる
  • 視覚的なアクセントポイントができる
  • 「自然素材だけ」の田舎っぽさを回避できる

3種類の異素材の組み合わせ。これが、都会的なカフェ空間の条件です。


まとめ:「この感覚」は、言葉だけでは伝わりません

ここまで、カフェ風住宅を実現する3つの設計法則を解説してきました。

  • 法則1:温冷7:3の素材バランス
  • 法則2:視線が上下に動く立体設計
  • 法則3:余白という贅沢

しかし、正直に言います。

これらは、実際に体感しないと本当の価値は分かりません。

  • 自然光が木目に落ちる「陰影」
  • 無垢の床を歩いた時の「沈み込み」
  • 天井高が変わる瞬間の「空気感」
  • 異素材が隣り合う部分の「質感の違い」

これらは、写真やブログでは絶対に伝わらないのです。


だからこそ、完成見学会へお越しください

千種建築では、近日中に完成見学会を開催します。

「カフェっぽい家、やっぱり諦めようかな…」

「予算的に無理かもしれない…」

「まだ家づくり、先の話だし…」

そんな方こそ、ぜひ足を運んでください。

見学会で得られるのは:

  • 「この空気感」を言語化するヒント
  • 設計士に何を伝えればいいかの具体例
  • 予算内で実現できる優先順位の付け方

設計前に見ておくことが、後悔しない家づくりの第一歩です。

詳細は、近日中に公開予定です。

どうぞお見逃しなく。


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